解体工事豆知識

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アスベスト解体工事の流れ〜調査・解体・産業廃棄物処分〜

アスベスト解体工事とは、アスベストが含まれる建物を解体する作業のことを言います。20069月以降、アスベスト含有量が0.1%を超える建物は、「労働安全衛生法施行令」と「石綿障害予防規則」に基づき規制対象となりました。

アスベストが含まれる可能性がある建物の解体工事を行う場合は、事前に調査を行うことが必要です。建物内にアスベストが含まれていることが確認された場合、法定に基づいた解体作業を行わなければなりません。

本記事では、アスベスト解体工事の流れについて解説していきます。

 

アスベスト解体の作業レベル

アズベスト解体工事の説明をする前にアスベストの作業レベルについて解説します。

国土交通省ではアズベスト解体工事に伴う作業をレベルに合わせた飛散防止を行う必要があるとし、「危険度に応じた作業レベル」を定めています。

作業レベルは1~3段階に分けられています。

また、令和3年の法令改正により、解体工事においては、レベルに関係なく防塵マスクや防護服の使用を徹底するほか、作業場の隔離や更衣室、前室の設置が必要となります。

 

・レベル1(1番危険な状態)

レベル1とは、建材にアスベストが直接吹き付けられ、非常に発塵しやすく、アスベストが飛散しやすい状態を指します。

 

・レベル2

レベル2は、アスベスト含有量が高い、または飛散しやすい保温材、耐火被覆材、断熱材など、発塵性が高い製品を指します。このレベルの作業においても、アスベストが飛散しないように注意することが必要です。

 

・レベル3

レベル3は、比較的飛散する可能性が低い状態で、アスベスト含有ビニール床タイルやスレートなど、成形された建材が対象です。これらの建材は通常、飛散しない場合が多いですが、切断や破砕作業を行うときには、アスベストが飛散する可能性があるため、注意が必要です。

 

アスベスト解体工事の流れ

本項では、アスベスト解体工事の流れについて解説していきます。

 

1:アズベスト事前調査

20214月から、解体工事にはアスベスト含有物質の事前調査が義務付けられるようになりました。報告対象となる工事に関しては、アスベスト含有の可能性がある場合は必ず調査が必要です。

事前調査では、建物の延床面積や構造などを図面で確認し、使用されている建材をサンプリングしてアスベストが含まれていないかどうかを調査します。

調査の方法には、アスベストが含まれているかどうかを調べる「定性分析」と、アスベストがどれだけ含まれているのかを調べる「定量分析」があります。定量分析によってアスベストの含有量が0.1%を超えた場合は規制対象になります。

 

2:アスベスト事前調査の報告

20224月以降、一定規模以上の建築物については、調査結果の報告が義務化されました。元請け業者は、アスベストの有無に関わらず、事前調査結果を所轄労働基準監督署に報告する義務があります。

 

3:アスベスト解体工事前の必要書類の届出

アスベストを含む建築物の解体工事には、事前に各種届出が必要となります。

令和3年の法令改正により、作業レベルに関わらず、「工事計画届出書」「特定粉じん排出等作業実施届出書」「建築物解体等届出書」の提出が必要となりました。

 

4:近隣樹民への説明

アスベストが使用された建物を解体する場合は、事前に周辺住民に説明することが重要です。さらに、大気汚染防止法によって、解体工事現場に作業内容を掲示することが義務付けられています。

 

5:アズベスト解体工事の実施

アスベストを含む建材を回収した場合は、二重にした破れにくいプラスチック袋に入れて密封し、外側に「アスベスト廃棄物」と分かるように明記する必要があります。作業場内で清掃したアスベスト廃棄物も同様に処理します。

アスベストの解体方法は、作業レベルよって異なります。解体作業中にアスベストが飛散しないように、薬剤などでアスベストを封じ込めてから解体する必要があります。

 

6:アスベストの廃棄

建築物の解体によって出たアスベスト廃棄物は、特別管理産業廃棄物に該当するため、産業廃棄物処理業者に依頼して処理します。

処理業者は、廃棄物処理法に基づき、特別管理産業廃棄物の処理業者の許可または環境大臣からの無害化処理認定を受けた業者が処理することが求められます。

処理業者は、飛散性を有するアスベストは「廃石綿等」として処理し、非飛散性のアスベストが重量0.1%を超えるアスベストを含む廃棄物は「石綿含有廃棄物」として処理し、重量0.1%以下のアスベストを含む廃棄物は産業廃棄物として処理します。

 

7:取り残しなどの確認

工事終了後に設置された休憩室、水道設備、更衣室などの仮設物は撤去が必要であり、アスベストが飛散しないように注意が必要です。整地や後片付け時には、地中や地下にコンクリートなどが埋まっていないか確認する必要があります。

また、作業場の清掃は毎日行い、アスベストの飛散がないように注意を払います。

 

8:行政へ報告

アスベスト含有建材の解体工事が完了したら、事前調査の結果や施工中の写真、廃棄物マニフェストなどをまとめ、報告書として所轄官公庁に提出します。また、これらの記録は3年間保管する必要があります。

 

まとめ

本記事では、アスベスト解体工事の流れについて解説をしました。

ぜひ参考にしてみてくださいね。

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